盗撮2.0

グーグルストリートビュー(以下、GSV)に批判が集まってる件。

 
自分はGSVには反対で、どちらかというと反対意見の中ではかなり原理主義に属する方かなと思います。そもそも、全くの他人やその人の住居などに対してカメラを向ける行為がどうなのよ?という。観光地などにおいて風景を撮影しようとした結果として他の観光客などが写ってしまうというのは仕方ないにしても、そういった「カメラを取り出して写真撮影することが暗黙のうちに認められるような場所」以外の場所においては、たとえ公共の場所においても無許諾に無差別の写真撮影を行なうというのには反発があります。その点では「公共の場所なら撮影しても問題ない」とするグーグルの主張とは真っ向から対立するものです。

 
仮に、今のGSVのやっている「写真を撮るだけ撮って、無断で公開し、問題が指摘された画像については公開を取りやめる」という行為が、「公共の場所での撮影は問題ないから」かつ「公共の利益になるから」という理由で完全に正当化されるのだとしたら、次のような行為も正当化されてしまうのではないでしょうか。

 
(1) GSVで使われたのと同じカメラを自分の車の屋根に設置する。
(2) このカメラ搭載車で「欲しい写真」を収集する。
(3) それと平行して、問題の無い「安全な写真」を収集する。
(4) 「安全な写真」のみをウェブ上で一般に公開する。

 
ちょっと抽象化しすぎててわかりにくいかもしれませんが、例えば「安全な写真」として「市町村の景観」を網羅的に撮影して公開すれば、この一連の撮影行為はGSV同様に認められるでしょう。しかしその撮影行為の中で(「欲しい写真」として)「興味のある異性」や「登下校する学生集団」の写真をも収集できます。つまりGSVの撮影行為と同様の手順を踏めば、まさにストーキング手法にあたるような写真収集が(GSVが是認されるなら)是認されてしまうことになるでしょう。

 
「そんなこと言っても一私人がGSVほど系統立てた写真公開はできないからありえない」と思われるかもしれませんが、GSVが是認される根拠が前述の通り「公共の場所での撮影は問題ないから」かつ「公共の利益になるから」という点に集約されるなら、公開方法がGSVほど高度である必要は別に無くて、撮影地点ごとに(緯度経度情報を添付するなどし)フォルダ分けして写真を提供するだけでも同じエクスキューズが成り立つでしょう。
単純な好奇心によるものならまだしも(それでも問題だと思いますが)、そうやって収集された写真と個人とを結びつけた情報は商品としての価値すら持つかも知れず、犯罪者集団への利活用を促進する闇の探偵家業みたいなものにまで発展するかもしれません(杞憂だといいですね)。

 
こんなこと思いつく俺きめぇとかいうのはどうでもいいんですが、果たして上記のような盗撮まがいの行為が、GSVの行為と明確に線引きできるものでしょうか?あるいは上記のような行為はそもそも問題が無いのでしょうか?GSVの現状を擁護・容認している人たちはどのように考えているのか、興味のあるところです。