既成の規制

前のエントリで、

(現行法による)児童ポルノの規制に対して表現の自由の侵害を訴えている人は知りません。

って書いたけど、よくよく考えたら今の法律も、「芸術性のあるヌード表現ができない」という点での議論はありましたね。お詫びして訂正いたします。既に法律として定められてしまっていることであれば、それに疑問を持たずにその基準で考えてしまうのは、まさにその規制の妥当性が追認的に既成事実化してしまうことの現れですね。
芸術性を巡る議論については、法政大学の白田助教授が入手した書籍のように、芸術性を謳っておきながら、その実、児童に性的な姿態をさせ記録するものも少なくないわけで。児童にそういう姿態をさせることを問題視するのが児ポ法の理念であるという意味で言えば、そういったものの流通が規制されるのは想定どおりなのですが、他方でもっとまっとうな(性欲を掻き立てることを目的としないような)ヌード写真集などもある。そこは切り分けて考えられるべきであるところ、全部ひとまとめに規制してしまっているのが今の法律なわけです*1。性的搾取を目的としておらず、現に性的搾取と認められないようなケースについては、その表現を許容する旨を法文上に明記することで、本当に規制したいものについてのみ焦点を絞り込むべきでしょう。

*1:現行法の下でも裁判所が「性的でない」とすれば問題なく流通できるのですが、そこの定義が法文上で曖昧すぎるために裁判所の裁量によるところが大きすぎて、誰も“安全な”表現の範囲がわからない、というのが問題。