そらかけ感想

そらかけが残念だった件。


奇抜な設定、大味な物語、キャッチーなデザインワーク、美麗な作画、コンビ漫才つつじ&ベンケイ、ノリノリの田中理恵、等々いろいろと私好みで良かった点はあるんだけどねぇ、まさに気分はどうしてこうなった^2


既に指摘されてるとおり要素の詰め込み過ぎ・風呂敷の広げ過ぎってのはあるけど、同時に、カタルシスにもメッセージにも繋がらない細かいストレス展開を入れ過ぎだった感。
アキハが個人的感情から独断専行→こっぴどく怒られて凹むorギクシャクするってパターンを繰り返すのとか正直「なんどめだ」と思ったし、そのパターンが繰り返されて何か面白いかっていうとそんなことは無いし、カザネはそういうシーンに絡むからこそ視聴者から必要以上に嫌われてるような感じだし・・・振り返ってみるとそういう誰得なシーンが多いんだよね。
ナミが突き放される展開もほとんどそんなふうなパターン化で、なんつーか、「アキハは叱られてくすぶっとけ」「ナミは見放されてグレとけ」「カザネは超然として個々人の感情を軽視しとけ」etc.みたいなテンプレを無思慮に使い回し続けた結果、それらのシーンが過剰に描かれ過ぎてしまい、キャラのメンタリティ描写にマンネリ感を生じさせたうえ物語全体としてのバランスを欠いてたんじゃないかなあ、と思います。
キャラ間の意志の衝突ってのはそれ自体が良質なドラマたりえますけど、それはその状況と文脈に依存した一回性やその後に続く軋轢の発展的解消などがあってはじめて緊張感を持ったドラマになるわけで、それら無しに繰り返される衝突は、「見飽きた」「何の面白みも無い」「またこれかよ」という反応しか引き出さなくなってしまい、尺の無駄にしかならないでしょう。
そういう意味では、シリアスさを醸し出すためだけに(作品内お約束的な)ストレス展開を持ってくるのは、繰り返すほど受け手側をダレさせる可能性があって、場合によっては逆効果になる。そらかけはそれがそのまま当てはまってしまう面が否めないかと。


アキハが叱られながらも「私のやるべきことはやる!でも私のやりたいようにもやらせてもらう!」くらい吹っ切れた成長を見せていれば終盤の展開はもっと突き抜けた感じにできただろうし、ナミも周りとの肯定的な関係性が少しでも描かれていればここまで一方的な被害者感は出ずまた救済も楽だったろうし、カザネももう少し個々人の感情を省みる姿を描かれていれば「獅子堂家は冷血一族」みたいな言われ方はされなかっただろうし。作品内テンプレ展開に必ずしも沿わない彼女たちの姿をもっと描けていれば、もっと素晴らしい終わり方になったんじゃないかと思います。