ヱヴァ破感想

つーわけで見てきましたよ。前日の金曜ロードショーで序の復習もきっちりやったし。これでもうネタバレ踏むのも怖くないぜ。というかね、この一週間どこのサイト行ってもヱヴァ破に触れてることが多くて、避けるのも大変だった。それだけ注目されてる作品ってことではあるんだけれども。


以下、ネタバレ。




序を見たときにも思ったことだけど、前のエヴァでは黙示的に匂わされていたもの、特に各キャラの感情とかが、ヱヴァにおいてはかなり明示的に語られてるんですよね。それもそのキャラ本人の口から、みたいな形で。前のエヴァではどのキャラも言いたいことの多くを飲み込んでいたのが、ヱヴァでは言いたいことをとにかくぶつけあってる、そんな感じ。


例えば、3号機事件の後の顛末にしても、シンジとゲンドウがわかりあえない、その点はエヴァ・ヱヴァで共通していても、前エヴァでは互いに語るべき言葉は無しとばかりに決別しているのに対し、ヱヴァにおいては互いの言い分を述べた上で決別している。直後のミサトとのやりとりにしても、シンジが一度は去るという結果自体には変化が無いものの、ヱヴァではミサトとシンジが互いの想いを述べた上で、それでもシンジが去っていく、という形になっています。


「どうせ通じ合わないから黙る」から「通じ合わないと解っていてもあえて言う」への変化。それは、万が一にも通じ合えるかもしれない可能性を拾うと同時に、互いの価値観の違いを確認することで歩み寄れる可能性や自らを変えていく可能性を拓く。非常に前向きなドラマに生まれ変わっている印象です。


反面、前エヴァにおける、そのような通じ合わないことへの諦念とそれゆえの沈黙が、作品全体を覆うことで醸し出していた独特の空気感というものが、ヱヴァにおいては払拭されており、良くも悪くもベタな作品になっている、ということも否めません。それを醜悪な商業主義・大衆迎合による改悪と受け取る人も少なからずいるでしょうね。特に前エヴァの熱狂的なファンだった人とかは。


個人的には、この変化については好ましいと思っています。もともとデュアル!ぱられルンルン物語を好意的に受け入れるくらい不真面目なエヴァファンだった自分としては、TVシリーズ中盤のようなベタな展開をこそエヴァに求めていたようなところがあって、前エヴァの「通じ合わないことを受け入れるっきゃない、それでも他人にそばにいてほしいから」というような切なる願い的な結論よりも、ヱヴァ破ラストのように「他人にどう思われるかではなく、お前が望むようにやれ」というマッチョ寄りな思考のほうが楽しめてしまうんですよね。


続く3部・4部において、この方向性のままで進むとするなら、前エヴァの結論のそのままその先を描くというよりは、アグレッシヴな意志・決断を尊ぶような流れになるかと思います(その流れをへし折るような展開が突然入ってきたりしないともかぎりませんが)。


次が楽しみでもあり、不安でもあり。早く続きが見たいですね。