問題だらけだって

ここのところ規制推進派の動きが活発化しているようですが。

マドリナン事務局長は既に単純所持を禁じた国々を例に「(法改正時には)必ず『表現の自由が侵される』といった懸念の声が上がるが、芸術的な画像としっかり区別することで、問題は回避できる」と述べた。

http://mainichi.jp/select/wadai/news/20091127k0000m040115000c.html


いや、だから日本の児ポ法では芸術的かどうかとか区別してないから。さらに言えば、規制推進派は被害者のいない架空表現まで法の規制に含めようとしてるから。
そんでもって「問題は回避でき」ているらしい欧米でも冤罪の事例が少なからず起きてるから。

児童ポルノ写真を所持していたとの濡れ衣を着せられて起訴され、つらい生活を強いられた高校の教頭が、これまでに支払った訴訟費用を返還されることになった。この事件では、30年以上にわたる経験を持つベテラン教師の人生がほとんど破壊されるところだった。

http://wiredvision.jp/news/200906/2009063022.html


このケースでは16万ドル以上もの裁判費用がかかっているそうです。無罪になったことで返還してもらえるとのことですが、これは無罪を勝ち取れたからこそであって16万ドルを最初に自力でかき集められなければ有罪になっていたかもしれませんし、政府から返還されるお金は税金からの支出のはずなので市民に無駄な負担を強いたと言えます。また逮捕されたことによって破壊された人間関係・失った名誉などは、裁判費用が返還されようとも元通りに回復できるものではないでしょう。ぶっちゃけ誰も全く得しない逮捕だったと。
この他にも授乳写真を児童ポルノとして摘発した事例なんかもありますし、過去に何度か紹介したコンピュータウイルスによる冤罪の事例なんかも。
「警察の運用が悪い」といった責任転嫁もできそうですが、そもそも立法は行政による濫用の可能性を考慮して行なわれるべきであり、その点で日本の児ポ法は非常に警察・検察の恣意性が入りやすい条文になっているわけで、このうえ単純所持も含めるとなったら、このケースのような問題が頻発するでしょう。


これらの状況を踏まえて、「問題は回避できる」と規制推進派は考えているわけですか。おめでたい頭ですね。


直近の政治的動きとしては、先日紹介したパブコメ募集のほかに、東京都の青少年問題協議会でも答申素案についてのパブコメを募集しているようです。さすが規制反対派を精神異常者呼ばわりする委員がいる協議会なだけに、この答申は露骨に規制強化を求めるものになっています。

国に対し、児童ポルノの「単純所持」の処罰化を強く要望すべきである。
(中略)
児童を性の対象とする漫画等のうち、著しく悪質な内容のものを、追放の対象として明確化するとともに、「不健全図書」の指定対象に追加すべきである。

http://www.metro.tokyo.jp/INET/BOSHU/2009/11/22jbq200.htm


皆さんぜひとも反対意見を送りましょう。