教育が先だろ


9月になり、規制推進派が東京都議会でまた条例案を提出しようかという状況にあって、規制大好きの産経新聞さんがNPOのインタビュー記事っぽいのを載せたけど、この団体は宗教系らしい。純潔思想を掲げる人が性表現を規制したがるのはわかりやすい構図ではありますね。


まるで高校生がセックスしちゃいけないような口ぶりですけど、結婚可能年齢が高校の在学期間にかぶってるわけだから、別に高校生でセックスすることが禁じられるべきことだとは思わないな。重要なのは、望まぬ妊娠や性病の罹患によって生じる肉体的負担や社会的負担を知っていて、それらに対する覚悟があった上でセックスに臨んでいるかどうか、という点でしょ。
だから「性について触れさせなければセックスなんてしないだろう」などという臭いものにフタする施策よりも、セックスに関する医学的知識・社会的背景・制度などについてしっかりと教育して児童1人1人が自分で判断できるようにしていくことが大事なんですってば。
そういう意味じゃ、こういう人をわざわざ呼んで講演してもらって初めて危険がわかったとかいう生徒がいる時点で日本の性教育は遅れすぎだろ。加えて、こんな講演程度でも啓発される児童がいるのなら、学校における性教育を充実させるだけで漫画からの影響なんて十分に抑制できるでしょうに。
こういう状況なのにもかかわらず「漫画は表現を自粛しろ」とか言うのは、性教育についての公教育の怠慢を棚に上げつつ在野の表現にまでその怠慢のしわよせに巻き込もうとしているような、まさに臭い物にフタの施策そのもの。


あと、以下の部分。

しかし、女性ファンが多い少女向け漫画を「成人向け」コーナーに並べると、女性が買いにくくなるため書店は区分陳列に及び腰で、府が今春実施した抽出調査では、府内約250店舗のうち3割が区分陳列していないことが分かった。

http://sankei.jp.msn.com/life/education/100907/edc1009071240001-n1.htm


女性向けの成人指定漫画を、売り場まで明確に分けてしまうと、そういう売り場に入っていく女性に対する好奇の目があり、場合によっては変質者によってマークされてしまう怖さがあるんだそうで。女性にも性欲があるのは当然で、性的なメディアを購入するのも正当な行為なはずなのに、そういう脅威に晒されてしまうのは、これもまた社会に残る男女間の非対称性だよね。
というようなことを以前に誰かが指摘していたと思うんだけど、産経新聞さんは知ってか知らずか、単なる金儲け主義だと印象操作したいらしい。

一方、こうした動きに対して東京都内の出版社は「少女向け漫画を成人コーナーで販売されると、売り上げが減り、ビジネスとして成り立たない。過激な内容があれば、作家に書き直してもらうなど自主規制している」と主張する。

http://sankei.jp.msn.com/life/education/100907/edc1009071240001-n1.htm


ここの部分なんか、要は「成人指定になっちゃうと成人向けの売り場に陳列されて買いにくくなっちゃうから、成人指定されないよう過激な内容は避けるようにしてます」って話で、きちんと自主規制してるよって主張なのに、金儲け優先みたいな表現になってるし。


規制したい人たちもまだまだ諦めてないっぽいので、こちらも気を抜けませんね。