開けない百科事典


Wikipediaのイタリア語版が停止中なのだそうな。「別にWikipediaのサーバはイタリアにあるわけじゃないんだから、イタリアの法律がどうなろうとイタリア語版を閉鎖する理由は無かろう」という意見もあるようですが、これどっちかってゆーと法案に抗議してのストライキ的な性格が強いんじゃないかと。
まあ法案の具体的な中身とか把握してないので実際に成立したときにどの程度の影響があるかはわかりませんが、例えばイタリア国内からWikipedia上の記事を編集した者にもその法の効力が及ぶのだとしたら、イタリア語版のWikipediaにおける編集者達の活動の傾向に何らかのバイアスがかかったり、編集者の数自体が減るなどして、記事の品質を維持できない、というようなことは充分に起こりえるでしょうね。あるいはそこまで効力が及ばないのであればWikipedia自体は安泰だとしても、イタリア国内のサーバに設置されているウェブサイトにはことごとくそのような変化がもたらされうる。そのことについての警句ということでしょう。「昨日まで見られていたイタリア語版Wikipediaがもう見れなくなってしまったように、法案が通ればイタリア国内の多くのウェブサイトがこのように見られなくなるかもよ」という。
日本も他人事ではなくて、こういう規制を通したがる勢力っているよね。「毀損された名誉の回復をもっと容易にする必要がある」との主張も理解はできますけど、個々のケースにおいて問題とされた表現が真に名誉毀損にあたるのかどうかは常に議論の余地があって、だからこそ裁判所によって判断を下される案件なわけでね。「回復を容易にしたいから裁判すっ飛ばす」ってなったら、そりゃ「名誉毀損だ」って言った者勝ちになっちゃうでしょうよ。そうではなくて、裁判所の増員で審理を迅速化するとか、名誉毀損に関する提訴の手続きを簡略化するとか、そういう方向には進めないものかね?