蛸壺ビジネス?


アニプレックス作品の北米版BDから日本語音声が削除されたり日本への輸出がそもそも禁止されたりとか。北米版アニメソフトを買うというのは、消費者にできる数少ない円高相場の有効活用法だったと思うんだが(論じるべきはそこか?


まあ版元がどう売るかについて口出しするのはそういう権利があるし別にかまわんけれども、海外のアニメファンで日本語オリジナル音声を楽しみたい層にとっちゃたまったもんじゃないわな。日本国内のファンにとっては、今まで国内と北米とで同じコンテンツの価格にあまりにも価格の隔たりがあることに不公平感があったわけで、そんな中でも国内の高価なソフトを購入し続けてた層からすれば、北米版から日本語音声が取り除かれることは価格差についての不満に対する解答になるやもしれず。いずれにせよ本件の根底にあるのは「日本のアニメソフトの価格は高い」という消費者感覚なのは間違いないでしょう。


アニメの制作はほぼ全工程において人間の手作業が関わる以上、本質的に高コストにならざるを得ないわけで、そのコストを小売価格に反映した結果が今の相場なのでしょうけれども、その相場が往々にして客が買いたいと思える価格から乖離してしまってるような実態。それでも大人気が得られればかなりの数が売れて投資を回収できるから会社全体としては問題ない、という判断なのでしょうね。しかしソフトが飛ぶように売れるほど大人気になるかどうかについては、そのソフトそのものの価格にももちろん影響を受けるはずで、高価格を維持し続けることが結果としてソフトが売れるかどうかのハードルを自ら引き上げることにもなってるんじゃないかとも思う。
そういう意味では、アニメソフトをどういうパッケージでどういう価格帯で提供していくのかについてはもっと色々な試みをしていくべきなんじゃないかと思うところ、今回のような紋切り型の高価格維持の姿勢を見せられると、結局アニメ制作会社は、より広い層にアニメコンテンツにアクセスしてもらって薄利多売で儲ける方向よりも、いま現在アニメソフトに金を落としている日本国内のオタクたちを高価なアニメコンテンツ相場の中に囲い込み続けることを何よりも優先したい(そのためになら各所で消費者の不満が募るのも厭わない)のだろうと感じずにはいられません。