クズランダム


既に色んなとこで話題に上ってるけど、ココロコネクト役者いじめの件は本当に酷い。


誰でも叩けば埃の1つや2つ出るし、性格の合う合わないもあるから、多数の人間が協力して1つのモノを作り上げる集団作業では、互いの人間性には多少は目を瞑り協調を試みるのが仕事人としてのマナーだと個人的には思ってるけど、でもだからこそ、仕事上での信義は(人間性からは切り離して)何よりも大事にすべきでしょう。だって、同じ1つの仕事を全うするために嘘偽り無く協力し合おうという了解だけが、人間性の相容れない者同士で共同して仕事に当たれる唯一の拠り所なんだから。その信頼が損なわれた環境からは、いい仕事なんて出来上がってこない。
その意味では、仕事の依頼という形で相手を騙す、それもその相手をからかったり笑い者にしたりする目的で騙すような人たちは、集団作業に関わる資格は無いと思います。


観念的な話ではなく、現実的な話として、この企画のプロデューサーだった山中隆弘氏や、氏の所属するスターチャイルドが、今後また新しいアニメ企画を立ち上げたとき、そのキャストのオーディションに参加する役者さん達は「私も何か騙されるかも知れない」という気持ちを捨てきれずにオーディションに臨み、合格通知を受けた後も「アフレコが始まるまであまり本気になりすぎないようにしよう」と自戒するハメになるのではないでしょうか。ただでさえアニメ業界は賃金が低くやりがい搾取のような傾向があるというのに、そうやって役者さんのモチベーションまで下げるようなことをして、良い作品を作るのに何らプラスにならないどころか今後長きに渡ってマイナスになるような禍根を残すことを、企画立案者たちは想像していなかったのか、不思議でなりません。
騙された市来光弘さんの所属する事務所であるところのマウスプロモーションも、事前にこの内容を知りながら彼に伝えてなかったとしたらこれまた重大な問題です。彼が従業員という立場なら、事前の了解なしに衆人環視で笑い者にされることを仕事として強要したわけですから、パワハラとして労働基準監督署から指導が入りかねない事案だし、彼が個人事業主という立場なら、マネジメント契約に基づく仕事の斡旋において意図的に虚偽の内容を伝えたわけですから、裁判で争われれば賠償が認められうる事案でしょう。そしていずれの場合も事務所に対する信頼は下がり、新たに所属しようという役者さんが減ったり、機を見て移籍しようという役者さんが増えるかもしれない。
改めてこう考えてみると、メリットらしいメリットが本当に何も見当たらない、いったい誰が得するのか全くわからない企画ですね。


加えて、真面目に仕事に取り組む意気込みの人間を一方的に騙すことの非道さ、そしてそれを面白がる感性の醜悪さ、については、まあ既に多くの人が指摘しているところでもあり、改めて言うまでもないことかもしれませんが。


一番酷いのは、これらの問題があってもなお、騙された市来さんや、彼と似たような立場に居て同じような仕打ちを受ける可能性のある人々は、表立って不満を述べたり批判したりすることができないところ。それはもちろん、彼らにお金を払うスポンサーサイドがこのような横暴をしているという権力構造があるからで、この企画を主導した人々がその状況にアグラをかいて自省も自浄もしないようであれば、消費者としてNoを突きつけていくしかないでしょう。
幸い、自分の周囲では、この一件を知ってから「もうココロコネクトは見ない・楽しめない」「ソフト買うのやめる」という意見が多く、Amazonランキングも着実に下がってきているらしいので、今後のための反省を促せればいいと期待していますが。