罪人の弁護も正当


児童ポルノ法違反の案件について被告の弁護をするなとか言う弁護士会があるとか。
金儲けの観点から、弁護士事務所なんかの方針として「(商いとして儲からないから)そういった案件の弁護はするな」というのは(それはそれでどうかとは思うけど)まあアリっちゃアリ。だけど職業倫理なり正義感の観点から「そういう弁護を受け持つのは不正義だからやめろ」ってのは、素人ならともかく、法の専門家の主張としてちょっと信じられませんけど。
児ポに限らず、どんな罪状であれ、弁護行為が不正義ということはないでしょう。というか、裁判という手続き自体は被告の罪の重さを公正に見積もるためのものであり、弁護士はその見積もりが重くなり過ぎないようにするための歯止めであって、むしろ(被告の有罪・有責が明らかなように見える事案であればなおさら)弁護行為が全うされることこそ判決の正当性を担保することになるんじゃないのかと。もし「凶悪事件の容疑は弁護すべきでない」なんてなったら、警察・検察の好きなように罪状を重くされ、不当判決ばかりが蔓延ってしまうことになり、それこそ司法に不正義がまかりとおる事態になってしまうでしょう。
まあ実務をやっていれば、不名誉に感じるような仕事・泥にまみれるような案件を担当しなければならないことも少なからずあって心労も絶えないでしょうが、弁護士さん達にだけは、弁護行為を不正義とみなしてほしくはないですね。