どういう要約やねん


原爆記念日から終戦記念日にかけて、オリバー・ストーン監督が来日してて、そのインタビューが掲載されたりしてるんだけども、これ記事タイトルが酷くない?

「戦場に行ったこともない奴が語る愛国主義には吐き気がするよ」 オリバー・ストーン監督に聞く戦争と歴史

http://www.huffingtonpost.jp/2013/08/13/oliver-stone_n_3752018.html


↑これが記事タイトルじゃん?
んで「吐き気」でインタビュー内容を検索してヒットするのは以下の部分のみ。ちょっと長い引用になりますけど↓

アメリカの上院には、ベトナム戦争北ベトナム側の捕虜となって監禁・拷問などの地獄を味わったジョン・マケイン(John Mccain)と一度も戦争に行ったことがないのに他国への軍事介入に熱心なリンジー・グラハム(Lindsey Graham)という対照的な二人の議員がいる。彼らの考え方の違いを比べてみて欲しい。後者のような人間が語る「愛国主義」は吐き気がするほど不快だ。うんざりするよ。

「戦場に行ったこともない奴が語る愛国主義には吐き気がするよ」 オリバー・ストーン監督に聞く戦争と歴史 | ハフポスト


ここでいう「後者」ってのは、単純な現代文の問題で、「一度も戦争に行ったことがないのに他国への軍事介入に熱心なリンジー・グラハム」のことを指してるのは明らか。そこでこれを置き換えてみると以下のような文になる。

「一度も戦争に行ったことがないのに他国への軍事介入に熱心なリンジー・グラハム」のような人間が語る「愛国主義」は吐き気がするほど不快だ。


個人名は、類型にあてはまる典型的なサンプルとして挙げられているに過ぎないので、これを取り除いても大意は変わらない。

一度も戦争に行ったことがないのに他国への軍事介入に熱心な人間が語る「愛国主義」は吐き気がするほど不快だ。


さてここで記事タイトルをもう一度見てみましょうか。

「戦場に行ったこともない奴が語る愛国主義には吐き気がするよ」 オリバー・ストーン監督に聞く戦争と歴史


ぜんぜん意味が違うじゃん。
元の発言での「一度も戦争に行ったことがないのに他国への軍事介入に熱心な」ってのは、それ全体でひとつの人物像を示しているのであって、その後半だけ削って「一度も戦争に行ったことがない」と縮めてしまうのは全くもって要約になってないどころか、監督の言わんとしていることを捻じ曲げてしまっている。いくらインタビューの内容がよくてもこれじゃあかんわ。実際、この記事タイトルだけ読んで反応してた人はネット上だけでもかなり見かけたし(もちろん中身を確認しない当人らの問題もあるけど)、ジャーナリズムとしていささか不誠実なんじゃないの?
鳴り物入りで日本上陸したはずのハフィントンポストが、早くもスレタイ速報レベルにまで堕落したのだとすると、残念感がハンパないわ。