庶民(から離れた)感覚

北海道新聞の記者が麻生総理に対して会合場所についての馬鹿な質問をした件。(※問題の質疑は2ページ目以降です)
そもそも首相という立場ゆえ安全のために護衛をつけることになり、また会合する相手も相応の重要人物であったりあるいは参加人数が多かったりするわけで、会合の場所としてホテルを利用するのは、警備慣れしている施設でありかつ出席者や記者など多数の人間が集まれるだけの収容力を持っている施設であるという点で適切だと思います。この記者は、質問を発する前に自身で掘り下げるということをしなかったのでしょうか。マスコミが政治家を批判するのは結構ですが、こんな幼稚なことではなく、もっと意味のある問題提起をすべきです。
で、この件についてはその記者が馬鹿にされて終わりかと思っていたら、どういうわけかこれを争点化できると小沢民主党代表は考えたようで、さっそく「俺は居酒屋で会合している」発言が出た模様。おいおい国政に絡んでくるような話をそんなあけっぴろげな場所でやるんかいな。民主党は以前からもこの手の庶民派アピールを色々とやってきてたりしますが、そのことごとくが実際の庶民の感覚からはズレたことをやってしまっていて、かえって庶民から乖離していることを浮き彫りにし自爆しているように思われます。なんというか「下々の民草の生活ってこんな感じなんだろ」と意図的にみすぼらしいことをやって嘲ってるような、馬鹿にされてるような印象。
ここでハッキリと言っておきたいことは、庶民派ぶることが庶民のための政策に繋がるわけではなかろう、ということ。ヲタ的な引出しの中で言えば、パンプキン・シザーズの「患者が医者に望んでいるのは、自分と同じ病気を患ってもらうことではなくて、自分の病を治してもらいたいだけだ」というセリフがそのまま当てはまりますね。政治家は庶民のためになる政治をやってくれればよいのであって、庶民の猿真似をして欲しいわけでは全然無い。そういう意味でも、今回の麻生総理の発言は「政治に必要な活動を適切な方法で妥当なコストを掛けて行なう」ことを明確にし「庶民から見て高級か否か」という無関係な論点を切り離しているわけで、非常にまっとうなものだったと思います。

 
この辺の違いは、若者に対する発言にも見て取れるような気がします。
小沢代表はインターネットのテレビ番組に出演し、「政治の細かいことを知る必要はない。自分たちの1票で政権を代えることができる。それだけを分かってもらえたらいい」と述べたそうですが、この発言は「四の五の言わずに民主党に投票しろ」と受け取られてしまうような内容だと思います。総選挙を意識しているとはいえ、「我々は政治をわかりやすく説明する努力を惜しみませんので、皆さんも政治に興味を持ってください、民主党を知ってください」くらいのことは言えなかったのでしょうか?こんだけ弁舌下手ならそりゃ党首討論を逃げまくるわけですわ。
それに対し麻生総理はニコニコ動画内に麻生自民党チャンネルを開設しました。今後どうなっていくかはわかりませんが、少なくとも継続的に若年層に向けてメッセージを発信していく姿勢だけは見せています。

 
いずれも単なるイメージ戦略に過ぎないと言えばそれまでですが、小沢民主党の採っている施策は雑だな〜という印象を受けます。「居酒屋」発言にしろ「知る必要はない」発言にしろ、この程度の事を喋っておけばいいんだろ的ないい加減さが感じられてしまいます。こんな有権者を舐めた(ように見える)態度を代表が見せてしまっていては、そんな態度の民主党を支持すること=自分が馬鹿な有権者であることの表明のように感じられてしまい、支持をためらう人も出てくるでしょう。小手先ではなく、もう少し誠実に有権者と向き合ったほうがよいのではないでしょうか。