オタク“にも”犯罪者はいる

星島被告の同人誌の件


まずは、被害者女性のご冥福をお祈り申し上げます。


非常にありきたりな意見を言わせてもらえば、猟奇趣味だとか人体欠損/改造フェチってのは、性癖としてそれ自体は個人の思想の自由として認められるべきもので、フィクションの中においてなら自由にやってくれていい*1けど、現実の行為に及んだらダメだろ、犯罪だろ、明白に他人を傷つけるだろ、と。


そして実際にその現実の行為に及んだという点において、私は彼を嫌悪し憎悪します。思想の如何に関わらず犯罪全般を憎むのはこの件に限りませんが。


1つの事件について門外漢が誇大に政治的に扱うことには抵抗があるのですが、こういった事件を規制強化の根拠にしたがる人たちがいるので、彼らとは逆サイドからの意見として政治的なことをあえて言わせてもらうと、「こんな奴がいるからオタクの表現・消費活動は制限すべき」ということには決してなりません。
社会の中には凶悪な犯罪を起こす者が常に少なからず存在していて、それは何もオタク趣味の人間だけに限りません。オタクの表現・消費活動が凶悪犯罪の温床になっていると主張したいのなら、日本人全体をオタクとそうでない人にグループ分けした上で、それぞれのグループ内での凶悪犯罪発生率に有意な差があるかどうかをまず調べなければなりません。
仮にここで有意な差が見られたとしても、それは相関関係に過ぎないことに注意が必要です。すなわち、オタク人口に占める凶悪犯罪の割合が(仮に)多かったとしても、オタク趣味が犯罪を誘発しているのか、それともある種の犯罪傾向の強い人間がオタク趣味に傾倒しやすいだけなのか、の区別はつきません。ここでさらにオタク趣味が犯罪を誘発しているという因果関係の証明ができなければ、やはりオタクの表現・消費活動の制限の根拠にはなりえません。


規制を推進したいという人たちは、こういった統計学的研究をまずするべきであって、今回の事件のような個々の事例について感情的に規制強化を煽ることは全くもって不当です。最初にも述べたとおり、個々人の特殊な性癖そのものは(犯罪等を起こさない限りにおいて)思想の自由としてその存在を認めるべきなのであって、「オタクはみんな犯罪者予備軍」というような印象操作は、それ自体がオタクとされる人々への差別・人権侵害であると意識すべきです。

*1:私個人としては絶対に目にしたくないですけど。