飛ばしですか。戦闘機なだけに。

自衛隊のF-4戦闘機の後継はF-35だよ」と共同通信が報じた模様。


前にも少し書いたけど、F-35は当初予定よりも大幅に開発が難航し遅れており、開発費用もブクブクと膨れ上がっているようです。米軍の最初の目論見ではF-22/F-35のハイローミックスを考えていたのでしょうけど、下手すると開発費高騰でF-35の調達価格もF-22並になる可能性すらある感じ。
そういう問題がある機体であるうえ、複数国家の共同出資・共同開発であるがゆえに、先んじて協力していた国や出資額の大きい国に対し優先的に販売されることから、仮に日本が今から手を挙げても、実機を入手できるのは2010年代どころか2020年代になってしまうかもしれず、そうするとF-4の退役には間に合わなくなります。そして待ちに待ってようやく導入した頃には、既にF-35自体が陳腐化しているという最悪のパターンも考えられるでしょう。
加えて、購入には共同開発国に名を連ねる必要があることから、前述のとおりgdgdになっている開発に少なからぬ費用を日本も出資しなければなりません。火中の栗を拾いに行くようなものだし、何よりも兵器について他国との共同開発に加わることは武器輸出三原則等に抵触します。


また、F-35ライセンス生産を許可されないだろうというのが大方の見解で、そうなると完成品を輸入するか、せいぜいノックダウン生産に留まることになります。
今まで戦闘機の生産については、F-15ライセンス生産F-2開発経緯などに見るように、できるかぎり国内で部品から製造することにこだわってきていますが、それはなぜかと言うと、純国産で戦闘機を生産できる技術を日本国内のメーカーに蓄積したいという思惑があるからです。現状で日本は海外から戦闘機を調達する場合が多く、純国産を目指したF-2にしても最終的にはF-16ベースの準国産になってしまっていて、いずれにせよ戦闘機の調達については外国に依存している現状があるわけです。調達が相手国の都合に左右されると、日本の要求に沿う戦闘機がそもそも入手困難(今のF-22なんかはまさにそういう状況)だったり調達価格が釣りあがったり部品の供給に問題が生じたりするかもしれませんし、調達のために費やされる税金は依存先の国に流れてしまいます(純国産なら国内へ還流するぶんが少なからず生じる)し、その依存関係自体を政治的なカードとして使われるかもしれませんし、あまりいいことが無いので、できるかぎり純国産にしたいわけです。望むらくは今回(F-4の後継;F-X)の次に採用する戦闘機(F-15F-2の後継;F-XX)こそ純国産で実現したい、とは、多くの人が期待しているところではないでしょうか。
けれども、F-35ライセンス生産させてもらえないとなると、純国産のための技術蓄積がほとんどできなくなってしまいます。そうなればF-XXもまた外国製のものを調達することになるでしょうし、仮にそのF-XXをライセンス生産できるようになって技術の蓄積を再開したとしてもそれまでの空白が10年近くにもなってしまえば、その間にも国内の技術力は大きく後退してしまって、純国産はさらに遠のくことになってしまうでしょう。


以上のような事情があるので、個人的にはF-35という選択はかなりビミョ〜な気がするんです。確かに、「F-Xは絶対に第5世代戦闘機じゃなきゃダメ」という要件があるのなら、F-22調達の望みが絶たれた今、F-35以外には選択肢が無いわけですが、その調達が大幅に遅れるようであれば第5世代である優位性も希薄になるので、ならばF-15SEをなんとかライセンス生産できるよう頼み込んで、F-XXまでの繋ぎにする(そしてF-XXを本格的な第5世代以降の戦闘機として、できるだけ前倒しに調達できるよう尽力する)というのが次善の策なのではないかなあ、と思っていたところ・・・


「まだ決まってねーよ」とのオフィシャルアナウンスが出ました。じゃあこの報道は何だったの・・・?