ブラックボックス的な

親戚の子の写真が児童ポルノ扱いされる事例とか。
この種の「それホントに児童ポルノとして規制すべき画像なの?」という事例については、以前に紹介した教頭先生の話とか授乳写真の話とかでもそうだけど、捜査当局がいったん児童ポルノだと判断した画像は当然のように非公開になるので、その当局の判断が妥当かどうかを検証する手段がいっさい無くなってしまうんですよね。極端な話、当局が「児童ポルノだったんで摘発しました」って言ったらどんな相手でも強引に別件逮捕できちゃう、という危険があります。


で、日本に喫緊の問題としては、URLブラックリストのガイドライン策定が進められていること。このブラックリストに基づいてブロッキングが実施された場合、ブロックされたサイトが本当に児童ポルノを掲載する違法サイトなのかどうかは、ブロックされた閲覧者からはいっさいわかりません。幸い、現状ではまだ、URLブロックを義務付ける方向にはなっていませんが、ブラックリストガイドラインが策定された後にISPへのブロッキング義務化を法制化する、という段取りである可能性もあるので安心はできません。


例えば、あるドメインでウェブサイトを運営していたとき、そこに掲載されていた写真について「児童ポルノである可能性がある」として画像のURLがブラックリストに載せられてしまうと、その画像は閲覧不可能になるため、本当に児童ポルノだったのかどうかは検証できません。いくらサイト運営者が「これは児童ポルノに当たらないだろう」という主張をし、議論があったとしても、当の画像自体が見れないんだから第三者は検証しようが無い。
それどころか、もし画像のURLだけでなく、そのサイトのURL、さらに言えばドメインそのものを「違法サイト」として指定されてしまったら、そのサイト運営者の主張そのものが封じ込められることにもなりかねません。仮に問題の画像が最終的に児童ポルノに当たるとの法的判断がなされたとしても、そのサイトのその画像以外の部分についてはいっさい規制されるいわれはないわけですから、ブラックリストに加えられる範囲は可能な限り最小限にしなければ、言論の自由を大きく損ねることになります。
したがって、少なくとも「サイトのURLをブラックリストに登録してサイト全体を見えなくする」というような乱暴な方法だけは絶対に避けられるべきですし、各画像等についての判断の妥当性もどこかできちんと検証される必要があります。いちおうガイドラインの中でもリスト作成管理団体を監視する専門委員会なるものが規定されてはいますが、それがお飾りの天下り団体にならないようその役割を明確かつ具体的に定めておく必要があるでしょう(特に、サイト運営者からの異議申し立てをどのように扱うか、など)。


このブラックリストガイドラインについてはパブリックコメント募集をしているので、皆さんも意見を送りましょう。