劇場版Fate感想

世間的には今日は劇場版ハルヒ初日だったようですが、そんな空気は全く読まずに劇場版Fate/stay night UNLIMITED BLADE WORKSを見てきたんだぜ。しかも新宿も池袋も満席だったのでわざわざ吉祥寺まで行くハメに。小さなシアターで見るのも久しぶりだなあなどと思いつつ。
以下、ネタバレあり。




自分が触れたことの無い原作のアニメ化については褒めるのも貶すのも難しい。下手に褒めたら「原作ファンからしたらこのアニメ化はクソ」って言われる場合もあるし、逆に貶しても「原作に触れてから言え」と言われる場合もあるし。なので、以下はアニメTVシリーズでしかFateを見たことの無い人間の意見だということをご了解いただきたい。


もともとアーチャーはかなり好きなキャラなので今回は期待して見に行ったんですが、むしろランサーさんのほうが男前でした。確かに話の流れ上、凛の窮状をアーチャーも士郎も察知できない、つかランサーが行ったから大丈夫だろ的な認識でいて、結果としてランサーが命を張って凛を助ける展開になってしまうのは仕方ないかもしれず、ランサーさん的にはTVシリーズよりもおいしい最期だったかもしんないけど、それによってアーチャーと士郎が凛そっちのけで一騎打ちしてましたみたいな形になっちゃってるのは微妙に萎える。加えて、見る側の心理としては、大勝負ってのは他に気をもむ要素が無い状態でやってもらってこそ集中して見られるので、「凛ちゃんピーンチ」ってのと「アーチャーvs士郎、宿命の対決」ってのを平行して進めるのは正直やめてほしかった。


あと、TVシリーズ見てた当時に自分なりにネットでいろいろ調べてて、士郎のUBWはアーチャーと詠唱の内容が違うってのを知ってたんで、今回の劇場版で士郎の詠唱が出てくるのを期待したんだけど、登場しませんでした。この詠唱の違いこそ、悔いているアーチャーと悔いない決意をした士郎の違いを如実に表すものであって、省いちゃダメだったのでは・・・?まあDVDなりBDなりでディレクターズカットを作る機会があるなら、ぜひ追加するべき部分なのではないかと。


全体としては、舞台挨拶でも「どんどん展開していく」と紹介されていたとおり、次から次へと話が進んでいくんですが、やはりむりやり2時間に押し込んだような作りになっていて、緩急が整えられていない印象。いや、見せ場となる戦闘シーンと、その繋ぎになるシーンとで、緩急は確かにあるんだけれども、物語に必要なシーンを2時間に収めることだけでいっぱいいっぱいで、見る側にとってつかみやすいペースになるような緩急をつけるというところまで配慮されて無かった感じです。
あとはまあ仕方の無いことなんだけど、説明不足なところは多々ありますよね。イリヤってどこの誰?士郎の家って親族はいないの?幼い士郎を助けたのは誰で今どこにいるの?なぜイリヤの心臓が持っていかれたの?慎二が肉塊になったのは何?てかこの肉塊が聖杯なの?なんでギル倒すだけじゃなく聖杯も破壊する必要があるの?桜って結局なんだったの?等々。最低限でもTVシリーズを視聴していないと、今回が初めてのFateですって人にはわからないことだらけです。そういう意味じゃ、あくまでも既存ファンのために名シーンを1本のアニメにまとめてみました、という、ファン向けフィルムという位置づけで捉えるのが正しいでしょう。初めての人も含めた不特定多数に向けての1本の映画、までの完成度はありません。


商売的なことを度外視して言えば、7〜8話構成くらいのOVAで出したほうが、もっとまとまりのある、説明不足も感じさせない内容にできたんじゃないかな〜という気がします。


次は桜ルート?でもPG-12でここまでの内容しか描けなかったんだから、桜ルートは18禁でやれとかなりそうですねwいや本当にやるかどうか知りませんけど。