盗聴の合法化


ISPがユーザの通信内容を記録・収集して広告業者に売るビジネスモデルを総務省が許可したとかいう話。いちおう、ISPが導入するにあたっては、各ユーザに同意を取り付けたうえ、同意しなかったユーザの情報は決して記録・収集しないこと、を条件にしていますが、本当にそのとおりに運用されてるかどうかは外部からはわからない(記録・収集は全てISPの内部で完結していて外からその様子は見えない)ため、その運用実態を何らかの方法で監査しなければユーザのプライバシーが適切に守られていることは保証できないはず。


その点について、高木浩光先生が問い合わせたところ出てきた回答は「刑事罰が設定されてるから実効的な監視が無くても誰も悪用しないでしょ」という酷いモノ。密室で行なわれることについて性善説に基づく施策を適用するなんて、楽観的を通り過ぎて無責任だと思うんだけど。


保守的な官僚がなぜこの施策に積極的なのかについては、ちょい前に紹介したブロッキングの話が関係してるんじゃないかって陰謀論があって、ISPに一方的な負担を強いることになるブロッキングを実施させることの交換条件に、今回の件が餌として撒かれたのではないかとか何とか。
何にせよ、ブロッキングによるアクセス遮断と、DPIによる通信内容収集とが、ここで一気に導入されるということは、技術的にはインターネット上の情報統制が可能になることを意味しているわけで、今後、これらの技術が行政にとって恣意的に運用されるような制度変更が起きないかどうか、注視していく必要がありますね。