劇場版ガンダム00感想


ここのところアニメ映画を見に行く機会を逸していたのですが、今日は久々に映画館まで足を運んで、劇場版 機動戦士ガンダム00 -A wakening of the Trailblazer- を見てきました。
まあ、例の批評がだいぶ的を得ていると思うので、テレビシリーズの00が好きだった人は見ればいいんじゃないかなレベル。
以下ネタバレあり。




以前に指摘した、テレビシリーズにおける「争いを止めるためには相互理解が必要だ」という主張と「刹那と00ならそれができる」という実践は、劇場版になって弱まるどころか、当たり前の前提(新主人公機がツインドライブで相互理解を進めるための機体だったりしたりとか)みたくなっちゃってて、それだけでもう真面目にメッセージ性とか考えるのがバカらしくなります。
そもそも、これまでの話の延長で、地球外知性体とも脳量子波ならコミュニケーションできる→だから(脳量子波コミュニケーションに実績のある)刹那が切り札になるって展開になってるけどさ、それって結局「どうやって相互理解するのか」という方法論を全部GN粒子に丸投げしちゃってるから成立してるのであって、そういう万能な道具に拠らずにどうするかを掘り下げられないなら、メッセージとしては「相互理解って大事!」以上のことは本当に何も言ってないのと同じでしょ。高校生以上の視聴者に向けてだとするとそれではちょっと幼稚すぎる。もしELSが脳量子波コミュニケーションの通じない相手だったとしても融和策を試みたんですか?とか考えると、そういうところの底の浅さはテレビシリーズから何も進歩してないな、と思います。


純粋にエンターテインメントとして見ても評価は厳しくなるかな。
キャラクター方面では、それぞれに魅せ場が用意されてはいるけど全体にあっさりしてて、キャラの掛け合いとかで心躍るところとかがほとんど無かったし。刹那はテレビシリーズ以上に感情表現に乏しいし、既にカップル成立してるサジ&ルイスにしろアレルヤ&マリーにしろやりとりはどれも悲壮だったり真面目だったりで淡白だし。戦時行方不明になったキャラたちも散り際こそ輝いたようには見えるけどどれも自己完結的で人間ドラマが広がった感じじゃないし。人間味を感じられたのは連邦政府首脳部の面々くらいで、アニメ的なドラマが展開されたのはビリー&ミーナくらい?そういう意味でグッと来るシーンが無さ過ぎる。
メカ・バトル方面でも、今回の敵は大群相手なので、ひたすら飛び回りながら火器ぶっぱばかり。作画は凄いよ。凄いけど、燃えないよね。突出した強敵やラスボスのような相手と戦う展開はないし、各ガンダムに施されたギミックもしっかり紹介されないまま流されていく感じだし。
シナリオの大きな流れにしても、刹那が対話に臨めば解決っていうゴールが視聴者側から見ても明白なので、バトルシーンを確保したいという作劇上の必要から新主人公機到着を遅らせたり刹那を一時的に脱落させたりしたのが丸解りで、悪い意味で予定調和的であり驚きも感動も乏しい。まあELSが大きな花になっちゃったり刹那が金属になってマリナ婆のところに帰ってきたりしたのは驚いたけど、もっと本質的なところで視聴者を感動させる意外性がないと「こんなもんか」で終わっちゃうよね。無難な作りなんだけど、無難すぎて褒めるところもあまり無いというか。


完結編だし、テレビシリーズも含めて少しでも良い形で終わるかな〜と期待も少ししてたんだけど、残念な結果になった、といったところですね。