密室で進めんなよ


猫も杓子もTPP・TPPって言ってる感じですが、なんだか詳細が論じられないまま政府は交渉に入ろうとしているのが、なんとも嫌な感じですね。マスコミなんかも米韓FTAを引き合いに「バスに乗り遅れるな」論調ですが、これも実際は韓国にとっては不利な条件になってるなんて話もあるし。
世間一般では、「アメリカと交渉して内容が決まる」「農業が衰退するかもしれないがそれ以上に工業などが伸びるから総体としてプラス」みたいな理解が多いようだけど、実のところそうではないわけで、そりゃ関税だけでなく非関税障壁まで踏み込んで貿易の自由化を進めようって主旨なんだから、農業だとか工業だとか特定の分野に限らない、社会全体への広範な影響があると考えるほうが自然ですよね。雇用・医療・保険なんかがヤバくなるだろうなんて話は最近よく耳にします。
マスコミは経団連の肩を持ってTPP賛成の大合唱のようですけど、放送事業なんかも自由化される可能性があるとは考えないのかね?放送事業者免許によって電波帯が割り当てられるのは非関税障壁だってみなされたら、否応無しに電波オークションやらされることになるんじゃないかと思うんだけど。そのへん経団連なり総務省なりとは話ついてるってことなのかしら?他国はそう甘くは無いと思うんだが・・・。


現時点での印象で言えば、内国民待遇によって企業が外国に進出するのが楽になる一方で、その裏返しとして労働者は外国の労働力と人件費競争にさらされることになりそう。その構造下では、企業の上げた利益を国内の労働者にきちんと還元されるような仕組みを整備しないと、国民の生活を苦しくすることで企業の利益を上げるだけの結果にしかならないでしょう。すなわち社会コストの増大によって企業を儲けさせているようなものであって、富める者がより富んで貧しい者がより貧しくなる施策にしか見えないんだよね。


本当は今年の前半ぐらいにそのへんをきちんとつめる議論ができていればよかったんだけど、震災のあれやこれやでどうにもならなかった。それならそれで改めて今からでも議論すればいいのに、もう11月に参加表明する前提で工程表を出そうとしてるとか、何なのこの政府・・・。