映画けいおん!感想


今日は映画けいおん!を見てきました。
アニメ映画を見に行くのもちょっと久しぶりだったりして。今夜は皆既月食も見ようと思ってたんだけど、映画を見た余韻に浸ってたら忘れちまってたよ。
内容としてはいつものけいおん!なんだけど、TVシリーズと繋がっている部分・伏線がかなりあるので、これから見に行く人はTVシリーズ2期の後半だけでも軽くおさらいしてから見に行ったほうがいいかも。そういう意味でも再放送やってたのかな〜などといまさら気付いたり。TVシリーズ好きだった人は見に行って損はないと思うけど、個人的にはこの構成にはちょっとモニョるところが無くも無い。まあ好みですけどね。
以下ネタバレあり。




深読みするまでも無く、序盤の卒業旅行前の段階から天使にふれたよ作成秘話というのが1つの筋となって作品のバックグラウンドに流れており、卒業旅行が終わるにつれてその筋がだんだんと前面に出てきて、最後はTVシリーズでの天使にふれたよ演奏を別アングルから見せ直すような形で終幕する、という構成。結果として、物語の前半は、軽音部で海外旅行に行くという新しいシチュエーションで話を進め、後半ではTVシリーズクライマックスにディテールを描き加えるように話を進める形になっているわけですね。
で、これはもう本当に好みの問題だと思うんだけど、ホロッとさせるにしても、やっぱもっと新しい切り口でホロッとさせて欲しかったなあというのがあるんですよ。なまじ前半部分が新鮮味に溢れた内容になっているだけに、TVシリーズで描いた感動に手を加える形での結末に持っていった終盤はちょっと物足りなく感じてしまう。もし卒業旅行の話と旅行から帰ってきた後の話が完全に別々のエピソードとして切り分けられて提供されていれば、それぞれ素直に面白い・感動したと思える出来になっているだけに、その2つが連続的に提示されることで終盤を少し物足りなく感じてしまうのがもったいないと言いますか。
特に最後の演奏シーンが、TVシリーズでの天使にふれたよ演奏をそのままなぞる形になってて、思い入れの強いファンほどそこで改めて感動を呼び起こされるというのはあるとは思うんだけど、自分のように不真面目な視聴者にとってはもっと新しい感動をくれ〜となってしまう。つか、EDを半分切ってふわふわ時間を流すくらいだったら、むしろ、「あまりうまくないですね」の後に5人で最後のふわふわ時間を演奏する、みたいな見せ場を作ったほうが、映画の結末として新しい感動を提供できたんじゃないか、とか。そこで例えばあずにゃんの表情や仕草なんかを工夫すれば、天使にふれたよがあずにゃんの翼になったことを暗示できるから、この映画で天使にふれたよに新たに加えられた意味付けをきちんと昇華することにもなっただろうし。
まあ本当に好みの問題なので、逆にこの構成がバランスよくて好き、という人も少なからずいるでしょう。てか、そっちのほうが多数派なんじゃないかな。


いろいろグチグチ言ったけど、良作であるのは間違いない。ロンドンに行ってまで演奏することになる経緯とか、普通に考えればかなり力技の展開なんだけど、これまで作品中で積み重ねてきた設定や作品そのものの持つユルい空気感をうまく使って、あたかも自然な流れであるかのように持っていけてて、それが普通に面白くて楽しいからなあ。各演奏シーンもTVシリーズ以上に力が入っていて盛り上がるし。学校での風景も、2期で描かれた部活外の人間関係をかなり豊富に盛り込んでて、TVシリーズで描いたキャラはとにかくできるだけ拾っておこうという、ある意味ファンサービスに溢れた内容になってるしね。
ただ、こんだけ総決算的な形で映像化されると、かえって、もう本当に続きは作られないんじゃないだろうか、という不安もよぎったり。まあ原作も高校編で綺麗に終われてる(ところを大学編に続けちゃってる)ので、ここで終わっとくのがいいんじゃないの、て判断はもちろんアリだけどね。やっぱ寂しくはある。