皆で楽しむために


サンクリに迷惑なサークルがいたとかでうんたらかんたら。
同人活動をする人々の母集団が多ければ、どう呼びかけようが説得しようが周りに迷惑をかけてしまうような人も混じってしまったとしておかしくない。その前提の上で、しかし参加の門戸は誰に対してもオープンでありたいと思うなら、実際に現場で迷惑をかける人が出たときどうするか、という、事後的な対応で何とかするしかないよね。たとえ精神疾患があるにしても、それを理由に予防的に参加を止めるわけにはいかないし*1
その考え方でいけば、「健常者だろうが障害者だろうが、周りに迷惑をかけた(かけ続けている)人は退場していただく場合があります」という方針で運営することになるし、その方針を貫くためには問題行動の有無をきちんと確認できるよう人的リソースを十分に確保する必要があります。そのためには参加費が値上がりするということも起こりえますけど、今回の一件のような事態を避けたいと思う人が多ければ、受益者負担ということでそういったコストも甘受されていくのだろうと思います。


社会的包摂なんて話も出ているけど、仮に「障害のために周りに迷惑をかけがちな人」が(オタク系イベントに限らず)イベント参加したがったとして、それを社会の側で受け入れられるのが理想なのは確かだけど、じゃあそれをどう実現するのかという具体的な方策が問題になる。
「他の参加者全員が障害に理解があれば」とか言うのは簡単だけど、障害の種類だって多岐にわたるし、間違った対処をすれば事故や事件にも繋がりかねない。前もってそれら全てのケースに対し備えることを広く参加者全体に求めるのは実現性があまりに低いでしょう。
なので、その障害について対処できる知識・技術のある介助者が同伴する、という方法のほうがより現実的ですし、障害を持つ人は実際に自分でそういう準備をして事にあたるケースも多々あるかと思います。他の参加者はその介助者を通じて障害を持つ人と適切に接することができるようになるから、障害を持つ人にとっても周りの人にとっても快適にイベントを楽しみ、事故・事件を避けられるというメリットがある。しかしその場合、じゃあ今度は誰がその介助者のコストを負担するのかが問題になり、現実には、障害を持つ人の家族がその役を買って出たり私費で誰かを雇ったりという、障害を持つ人の持ち出しで済まされてしまうことも多いのではないかと。
そこのコストを、障害を持つ人ではなく社会の側で負担する、というのが、たぶん一番実現性の高い方策だろうと思います。ここで言う社会の側ってのは、イベント主催者のことではなくて*2、国とか地方自治体のことね。イベントに同伴してくれる適切な能力を持った介助者の紹介・仲介と、その依頼費用の全部ないし一部の補助を、国や地方自治体が担う、みたいな。そうすれば、社会全体が薄く広く負担することで、今までイベント参加が難しかった人々もイベントに参加できるようになる。まあ最終的には、そういう制度のために税金が使われることを有権者がよしとするかどうかではありますが。


いずれにせよ、「参加したい意思を持ちながら、参加したら周りに迷惑をかけちゃう人(特定の誰かではなく、不特定多数な誰か)がいる」という可能性(あるいは現実)について、どう向き合うべきかということこそ検討すべき本質的な問題なのであって、それを置き去りにしたまま、具体的事例として実際に迷惑をかけたという特定個人を執拗に叩いたとしても、得られるものはあまり無いだろうと思います。

*1:そもそも疾患の内容によっては穏便にイベント参加できる場合だってある。

*2:もしイベント主催者にそのコストを押し付けたら中小規模のイベントは開催できなくなるでしょう。