電子書籍化は嬉しいけれど


Amazon日本の出版社に電子書籍販売を迫った条件が酷いとかなんとか。その内幕についてなんか語ってる増田もいるけど、書籍価格に占める印刷・取次・書店の割合の合算が55%だという数字が仮に正しかったとして、Amazonがそれらを代替するのだからそのぶん丸々もらうのを妥当とするのはおかしいでしょ。そもそも電子書籍化で圧縮できるとされているコストがまさにその部分なのだから、この55%要求を呑みつつ、従来かかるコストを据え置いたら、電子書籍化しても書籍価格は下がらないことになる。つまり出版社の取り分が額面で減らないかぎりは電子書籍の価格は下がらない=読者の得にならない。
もちろん出版社が自身の作業のコストのスリム化すれば安くなるだろうけど、そのために、今までなら通ってたニッチな企画や作家の作品の出版が減るようなことになれば、出版物の多様さが減ってつまらなくなる。他方で、Amazonはコスト低減の努力無しに55%の利益割合を確保できてしまうのなら、むしろ出版社の既得権益を崩すというよりもAmazonのほうが既得権益化する枠組みのようにすら見える。これは出版社だけでなく読者から見ても納得いかない情勢のように思うけど。
まあそもそも、こういう事態が到来するよりも前に、出版社の間で協議などをもって電子書籍販売の統一フォーマットを策定するなり何なりして、Amazonの浸透力に対抗できる体制を築いておくべきだったんだけどね。事ここに至ってもなお、メディアで不平不満を垂れ流してオシマイにしてしまうようなら、最終的には全部Amazonに持っていかれる結果になっちゃうでしょうけど。