気になるのは懐具合だけかよ


自民党の総裁選に立候補した石原伸晃議員の、報道ステーション出演時の発言が問題視されてるとのこと。当該発言を文字起こしされてる方もいらっしゃるようで、ありがたいことです。


私自身、安楽死尊厳死の議論については不勉強で、それ自体の是非について論じることはできないですけど、これらを推進する立場って、個人の権利としてそれらが選択できるべきだという主張なんじゃないかと推測するところ。そういう立場からすれば、安楽死尊厳死が制度的に確立した結果として医療費等の財政支出が減るとしても、それはあくまでも副次的なものにすぎず、それを目的に含めたりはしていないはず。それどころか、むしろ反対に財政支出が増えるような結果になろうとも、安楽死尊厳死を制度として確立すべきだ、という推進論さえありえるのではないかと。いずれにせよ、このテーマにおける財政支出の増減はあくまで政策の実現性・継続性の問題に留まり、その政策の目的・目標には含まれないものでしょう。


しかしながら石原議員の発言は、あたかも財政支出の減少を見込めることが政府にとって都合がいいから尊厳死を推進したい、と言っているように聞こえてしまう*1。これは尊厳死に反対の立場の人にとってとんでもない言い分であるのはもちろんのこと、上記のような理念でもって尊厳死を進めてきた人達にとってもその理念を金勘定の話に貶められたように感じられるのではないでしょうか。


要約するなら
A「人は、苦しまずに死ぬことを自分で決定できる権利があるべき」
B「いや、自死はいついかなるときも認めるべきじゃなくね?」
C「金の節約になるからやろうよ」
AB『え?』
みたいな感じ?


まあ政治家ってのはおおむねそういうゲスい皮算用を本音として抱えつつ賛成だ反対だって主張してる人も多いんでしょうけど、それでも表面上はその政策の関係者の議論の中身を汲んだ建前を装うもの。そういった政治的発言のコードを押さえられていない人が、主要政党のトップに就こうとしてるってのは、本当に頭が痛いです。

*1:誤解だと擁護する向きもありますが、こういう話の流れではそのように解されてしまうような発言であることは明らかで、むしろその程度の誤解を避けるような話し方すらできないのだとしたら、それはそれで政治家として問題があると思います。