ヱヴァQ感想


ようやっと見てきましたがなヱヴァQ。しかし公開からずいぶん時間が経つというのにいまだに多くの観客がいて、やはり人気の大きさを感じずにはいられませんね。


以下ネタバレあり。










内容としては、意志で勝利を掴み取るベタなエンターテインメントだった破から一転して、心理的に余裕のない状況に投げ込まれ望まぬ結末へと追い詰められていくような話でしたね。そういう意味じゃかなり旧エヴァ寄りの雰囲気だったというか、筋立てこそ全く違うものの、TVシリーズの第拾九話で高まったテンションがあれよあれよと下り坂を転がって第弐拾四話ラストに至った流れに非常に近いような印象を受けました。


色んな人の感想を見るに「劇中のディスコミュニケーションが多過ぎるんじゃないか」という批判もありますけど、視聴の第一印象としてそのような感覚を抱かせるのはシンジ君への感情移入のために最初から企図されてることだし、なぜ各キャラが(結果的に)ディスコミュニケーション気味に動いてしまっているのかは作中にもきちんと理由らしきものが用意されてるように見受けられます。もちろんそのように企図してやってる総監督のクリエイターとしてのあり方を問題にするのなら、そもそもそういう人やし、としか言えないw
ミサトさんが冷たく見えるのは立場上シンジ君に甘くできなかったからってのと、じっくりシンジ君を説得するだけの時間的余裕が無かったからってのと両方。まあチョーカーや隔離室などといった物理的な道具立ての事前の準備をしっかりやっておきながら、いざ目覚めたシンジ君に対面したとき懐柔すべく甘やかすことも騙すこともできない、上手く立ち回れない割り切りの悪さは(ある種の誠実さ故でもあるけど)いかにもミサトさんっぽく、またシンジ君への個人的な思い入れの強さを感じましたが。
アスカについても、14才年上の振る舞いに見えない〜みたいな批判も聞こえますが、あれはシンジ君に対する過剰な期待の裏返しでしょ。全く期待外れなガキシンジのことを、それでも最後は手を握って引っ張っていくのは、彼女なりに丸くなったところもあるってことかと。LAS的解釈で言えば進化するツンデレってことになるんでしょうが、そりゃマリに姫様呼ばわりされるわっていうw


意外だったのは、演じていた石田彰本人がインタビューでも語っていたとおり、カヲル君が思いのほか無力だったことかも。まあ「また会えるよ」と言っていたからには、実はまだ何か隠しダネがあるのかもしれませんけども。


新キャラについては、もう色んなところで繰り返されててあえてまたここで私が言うまでもないことかもしれないけど、サクラちゃんが可愛かったwとは言っても、作劇上は序・破との繋がりを意識させつつ(他の新キャラと同様に)時代の移り変わりを明らかにするためのキャラ配置に過ぎないので、今後それぞれの見せ場みたいなものが用意されてるかどうかについては、あまり期待できないかも。あと映画1作しかないわけだし。


新しく登場した様々な設定や伏線に関しては、完結編を待つほか無いでしょうね。嘘予告と呼ばれてる、破公開時の次回予告が空白の14年間について概要を語っているとは言え、肝心の、ニアサードインパクトで何が起きて、その後のサードインパクトで何が起きたのか、その具体的な説明が未だ無い以上どうしようもない。逆にそこが明らかになれば、ネーメジスシリーズだのインフィニティだのの正体も明らかになるはず。
ただ、そのへんの重大な話が完全に伏せられているにもかかわらず、大筋でどのように物語が推移しているのかが観客にも想像できるようになっており、この映画を楽しむ上での障害にはなっていないあたり、謎の張り方として凄くうまいなあと思いますね。


絵のほうでは、いよいよ3DCGをガンガン使ってきたなあという感じ。冒頭の2号機のロケットブースターであったりヴンダーであったりヴンダーの艦橋であったり、手描きでできなくはないんだろうけど、あれだけ複雑なものを立体的に見せるには3DCGのほうが安定してるのは確かで、あとはそれをどうやって手描きのカットと違和感無く繋げるかってところ。そこはまあ序・破とやってきた蓄積してきたノウハウがきちんと活きてる感じがしました。
あとは好みの問題になりますけど、登場するエヴァがどれもカッコ悪かったwヴィレ側エヴァレトロフューチャー的メカメカしさはネルフ側の宗教色と対比すべく意図的にやってるんだろうけど、いかにもマッチョメカなラインなのが(自分の中の)エヴァのイメージからは外れる感じで、もうちょっとスマートなデザインにしてほしかった。対するネルフ側にしても、第13号機はデザイン的には初号機を真似てて主人公然とはしてるんだけど、戦いの描かれ方がケレン味に欠けるっつーか、ファンネルなんぞというオイシイ武器を持っていながら立ち回りがショボイ・・・Mark9はだいぶ使徒っぽい活躍をしたけどあくまで脇役であり噛ませ役としての活躍だしなあ。


ま、キャラにしても物語にしてもメカにしても、いろいろと、完結編への期待が高まります。